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宮の沢泌尿器科クリニック

 
 札幌市を中心に販売されている雑誌「財界さっぽろ」に「泌尿器解体新書」というエッセイを連載しております。
 そのバックナンバーをこちらにも掲載いたします。
 最新のエッセイをお読みになりたい方は最新号の「財界さっぽろ」をご覧下さい。

第1回 切らずに治す前立腺

 前立腺肥大症と前立腺癌、よく耳にする病名で、中高年の男性にはとても気になる病気ではないでしょうか。いずれも50歳代後半から徐々に増えていく病気です。

 前立腺肥大症の診断を受けるとまずは薬で治療しますが、効果不十分な時には手術を勧められます。しかし薬から手術へ切り替える時の基準は一定のものはなく、医師によって判断にはかなりのばらつきがあります。10年ほど前のことになりますが、米国で前立腺肥大症の手術数が地域によって大きなばらつきのあることが問題になり、それがきっかけで肥大症の調査研究が活発化したことがありました。
その時わかった事は、泌尿器科は外科系の診療科であるために、治療法がどちらかというと外科的治療に傾く傾向があるということでした。

 薬で治らない時に必ず手術で治る、とは限りません。
 まず必要な事は、手術をすれば治る可能性が高いのかどうかを正しく見きわめてもらうことです。実はこれがかなりの専門性を要する仕事なのです。

 次に手術の方法が多様化してきている点があります。数十年来行われている肥大症に対する代表的な手術は内視鏡で削る方法ですが、いわばこれが現在の”切る”手術に相当します。
 多様化というのは”切る手術”よりも新しい”切らない”手術(日帰り手術)が多数開発され、そのうち良いものが淘汰されて残ってきたということです。

 当院では”切らない手術”のために米国で最も実績(FDA認可)のある装置を備えました。
 1時間の外来治療で終了する痛みの少ないマイクロウェイブ治療(TUMT)です。

 前立腺癌の話に移ります。
 癌が前立腺の中だけで転移がない場合、標準的な治療法は、摘出手術か放射線療法です。
 米国ではほぼ半々で行われていますが、日本では手術がほとんどです。
 実際にどちらの治療法が優れているかという点は昔から議論の的になっています。
 泌尿器科医は手術に若干の分があると主張する傾向がありますが、軽微な差であり、だいたい互角と考えてよいでしょう。
 また放射線の場合、昔の設備でしばしば生じた重症の副作用が未だに不人気の原因になっていますが、現在の装置では心配いりません。

 結局、治療法の選択は、その得失をよく説明した上で患者さん自身に選んでもらうのが一番だろうと思います。
 ”切らずに治す”ことも可能だということです。
 

  

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